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救急画像診断アトラス 外傷編 DVD-ROM付

相川 直樹 監修/船曵 知弘 著

定価(本体8,000円+税)   発行日:2007/11/10   ISBN:978-4-902380-32-3
A4判/176頁

・63症例,675枚の症例写真と100点を超えるシェーマで,救急画像診断の実務を明快に解説.
・臨床に即して胸部・骨盤の単純X線写真やCTの連続画像を提示.臨場感をもって救急画像診断の実画像を見ることができます.
・付録DVDにはさらに2,000点以上の追加画像を収録.連続画像,追加断面,VR像などにより,さらに深く症例を体験できます.

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序文


 単純X線写真を起源とする医療における画像診断は,その後の目覚ましい技術革新を経て今日の医療に不可欠のものとなった.種々の画像の読影と正確な診断には,高度の知識と専門的トレーニングが要求されている.
 救急医療の現場においてはリアルタイムの判断が求められ,画像情報の診断を含む初期診断・初期治療の適否が患者の予後を左右する.しかし,救急医療現場には画像診断を専門としている医師が常駐しているとは限らず,救急患者の診療に携わる医師が,自分の不得手の分野での画像診断を必要とされるケースも少なからず存在する.
 初期臨床研修の必修化が2004年4月から始まり4年目を迎えた.臨床に携わるすべての医師が救急患者を診療することとなり,すべての医師に最低限の読影能力を身に付けていることが求められている.しかしながら,画像診断に関する教育が十分に行われているとは必ずしも言えず,指導医の経験に基づいたレベルでの診療が行われているのが現状であろう.
 また,近年は医療の標準化が謳われるようになり,ACLSをはじめとした標準化されたoff-the-job trainingが盛んに行われている.外傷においては病院前を主体としたJPTECTMコースや医療機関到着後の診療に関するJATECTMコースが頻繁に開催されている.このような標準化されたskillや種々のpractice guidelinesに基づく診療は,一定の医療レベルを担保するうえで重要となっている.一方,画像診断では,ガイドラインで多用されている検査値やスコアなどではなく,画像という視覚的・非計量的データから診療上の判断をする必要がある.ここに画像診断の難しさがある.それに従えば一定の判断ができるガイドラインのような単純なものではなく,画像診断にはartの部分が存在する.このように,画像の読影とその診療上の意味付けには長年の経験が求められてきたが,臨床医となるスタート時点から画像診断の基本を身に付けておく必要が生じてきた.

 本書は,放射線診断医が書いたものでも救急専門医が書いたものでもない.医学部卒後直後から放射線診断学を修めると同時に,救急医療現場で,診断のみならず救急患者の治療の第一線で活躍し無類のトレーニングを積んできた,船曵知弘医師がすべてを執筆したユニークなテキストブックである.自分たちの扱った救急患者の画像情報と救急現場での臨床情報とを蓄積,分析して本書が書き上げられた.
 本書では,救急診療における画像診断の必要不可欠な要素に絞り,画像診断を中心として,最低限の読影・診断の流れを記載した.本書が救急医療における初期研修医に限らず,すべての臨床医にとって,救急画像診断の基礎を示したバイブルとなるものと信じる.

2007年9月
慶應義塾大学医学部・救急医学教授
慶應義塾大学病院・病院長
相川直樹
 

はじめに
 救急外来にはさまざまな患者が運ばれてくるが,登場する患者が,傷病名の名札を付けて運ばれてくることはない.何らかの症状を訴えている.いろんなことを手がかりに,治療/処置を同時に進めながら,その「傷病名」という答えを探っていく.その推理を進めるなかで,現在では「画像検査」が,非常に大きな道具となっている.しかし,不適切な画像検査は,診断を迷わす結果となる.また,CT,レントゲンなど画像検査ではそのまま画像が形となって残るので,不適切な読影(画像判断)は,患者の不利益につながり,さらには訴訟など自分の不利益にもつながるため,間違いのない読影が必要となる.
 現在の医学は非常に細分化され「専門性」が必要とされているが,その一方で「総合能力」も必要とされている.その表れが,臨床研修の必修化であろう.以前にこんな症例を見かけた.

症例1)10歳代後半の女性が腹痛のため土曜日に救急車でA病院に搬送された.当直医師は2年目の内科医一人で,超音波検査,CTを施行した.血圧は80台で,診断は重症急性膵炎によるショックと判断し入院,酸素マスクが付けられ,中心静脈カテーテルが留置され,さらには膀胱留置カテーテルが入り,絶対安静という状態であった.週末の間,その患者にはFOYなどが投与されていた.週明けに,CTを見て欲しいと常勤医に頼まれたが,全くの正常であった.若い女性ではこの程度の血圧はよく見かける.また膵臓の大きさも高齢者に比べれば若年者は大きいのである.

症例2)20歳代の女性が腹痛のため救急車でB病院に搬送され,超音波検査,CTが施行された後,総合病院に転送された.紹介状の病名には「大腸穿孔」と記載されていた.後日,CTの読影を依頼されたが,卵巣出血であった.

 いずれの症例も,その医師個人の能力によるもので,頻繁に起こっているわけではないだろう.しかし,起きているのは事実である.
 近年では容易に画像検査を行うことができるようになったが,それに見合った読影能力を備えていなければ,極端な話,撮影できない方が幸いである.先ほど,総合能力が求められつつあると書いたが,果たして,2年間の臨床研修でそれが得られるのであろうか.さまざまな科を少しずつお客さんのように診て(見て)回るだけでは,向上は得られない.各科での教育システムに依存するところが大きい.各医師が目的意識を持って,勉強することが必要で,本書がその一助になれば幸いである.研修医のみならず,救急外来で従事する医師,看護師などにも役立つと信じている.

 本書は,まずは外傷に関して,受傷機転やバイタルサインなどによってどのように画像診断を進めていくかを中心に記載した.現在では「標準化」が推し進められ,全国的に外傷初療における指導が行われている.本書もこれを基本とし,画像診断に重点を置いて記載した.各施設の状況や勤務体制などによって,また個々の症例によって違いがあるが,画像検査をするうえで,最低限どのようなことに注意しながら読影していくかなどの解説を付け加え,ポイントを絞ったつもりである.
 なお,処置ならびに治療に関しては,煩雑になるため画像検査につながるもの以外は極力省略したのでご了解いただきたい.

2007年9月
船曵知弘

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目次

Ⅰ.総 論
 外傷初療の考え方
 外傷死亡
 外傷初療の標準化
 外傷初療におけるキーワード
  1.高エネルギー外傷では特に注意!
  2.「切迫するD」に注目!
  3.FASTは繰り返し行う
  4.画像検査を正しく評価する
 外傷の重症度評価
 外傷初療の診療手順
 Primary Survey(PS)
 Secondary Survey(SS)
  付録:外傷初療で知っておきたい分類
  付録:頭部外傷で知っておきたい治療基準

 Ⅱ.症 例
症例1 60歳 男性 頭蓋骨線状骨折
症例2 70歳 男性 外傷性くも膜下出血,頭蓋骨線状骨折,頭蓋骨(頭頂骨)陥没骨折
症例3 20歳 男性 脳挫傷,外傷性くも膜下出血
症例4 25歳 男性 脳挫傷,びまん性軸索損傷,外傷性脳内血腫,外傷性くも膜下血腫
症例5 45歳 男性 急性硬膜外血腫
症例6 60歳 男性 急性硬膜外血腫
症例7 65歳 男性 左急性硬膜下血腫,右側頭葉の脳挫傷
症例8 25歳 女性 頸椎捻挫
症例9 65歳 男性 頸椎捻挫,後縦靱帯骨化症
症例10 60歳 女性 変形性頸椎症,後縦靱帯骨化症,中心性脊髄損傷
症例11 70歳 男性 第6頸椎(C6)の剥離骨折(過伸展損傷)
症例12 20歳 男性 第4頸椎(C4)の左側前方脱臼 
症例13 50歳 男性 軸椎椎弓根骨折(Hangman骨折)
症例14 60歳 男性 軸椎(C2)骨折(歯突起基部骨折)
症例15 30歳 男性 顔面骨折(左Tripod fracture)
症例16 40歳 男性 顔面骨折(右頬骨弓骨折)
症例17 25歳 男性 顔面骨折(右眼窩吹き抜け骨折)
症例18 40歳 男性 顔面骨折(Le FortⅠ+Ⅱ+Ⅲ) 
症例19 20歳 男性 顔面骨折(Le FortⅠ)
症例20 50歳 女性 下顎骨骨折(右顆状突起下骨折) 
症例21 25歳 女性 右緊張性気胸 6
症例22 30歳 男性 両側緊張性気胸
症例23 40歳 男性 心ヘルニア(その他,多発肋骨骨折・血気胸など)
症例24 70歳 女性 心タンポナーデ 
症例25 25歳 男性 大動脈損傷と左血胸 
症例26 50歳 男性 胸部皮下血腫(左肺底部胸膜の癒着) 
症例27 65歳 女性 多発肋骨骨折
症例28 20歳 女性 肺挫傷(左下葉)
症例29 40歳 男性 肺挫傷 
症例30 65歳 男性 第12胸椎(Th12)骨折(Chance骨折)
症例31 40歳 男性 第4胸椎(Th4)脱臼骨折 86
症例32 20歳 女性 脾損傷(日本外傷学会分類Ⅲa型)
症例33 35歳 男性 脾損傷(日本外傷学会分類Ⅲa型),左腎損傷(日本外傷学会分類Ⅲa型,H1,U0) 
症例34 30歳 男性 右腎損傷(日本外傷学会分類Ⅲa型,H3,U0) 
症例35 40歳 男性 左腎損傷(日本外傷学会分類Ⅱ型,H2,U0)
症例36 35歳 男性 左腎損傷(日本外傷学会分類Ⅱ型,H3,U0) 
症例37 18歳 男性 胆嚢損傷(胆嚢内血腫)
症例38 30歳 男性 腹壁損傷,腹腔内出血 
症例39 30歳 男性 肝損傷(日本外傷学会分類Ⅱ型) 
症例40 30歳 男性 肝損傷(日本外傷学会分類Ⅰb型) 
症例41 20歳 男性 肝損傷(日本外傷学会分類Ⅲa型) 
症例42 60歳 男性 肝損傷(日本外傷学会分類Ⅲa型),腸管損傷
症例43 55歳 男性 腸管損傷(小腸損傷)
症例44 65歳 男性 十二指腸損傷
症例45 20歳 男性 腸間膜損傷
症例46 8歳 男児 膀胱破裂,右腸骨骨折
症例47 30歳 男性 第1腰椎(L1)破裂骨折 
症例48 45歳 男性 骨盤骨折(右臼蓋骨折) 
症例49 50歳 男性 骨盤骨折(左恥坐骨骨折) 
症例50 30歳 女性 骨盤骨折(垂直轢断型) 
症例51 85歳 男性 右大腿骨頸部内側骨折
症例52 75歳 男性 右大腿骨転子部骨折 
症例53 55歳 男性 右股関節脱臼,寛骨臼骨折
症例54 35歳 男性 左股関節脱臼
症例55 30歳 男性 上腕骨骨幹部らせん骨折
症例56 40歳 男性 右肩関節脱臼(前方脱臼) 
症例57 5歳 男児 右上腕骨果上骨折 
症例58 45歳 女性 右橈骨遠位端骨折(Colles骨折) 
症例59 30歳 女性 左橈尺骨遠位端骨折(Smith骨折) 
症例60 40歳 男性 右脛骨高原骨折 
症例61 60歳 女性 下腿骨遠位端骨折(Cotton骨折) 
症例62 45歳 男性 両側踵骨骨折,第4腰椎(L4)圧迫骨折 
症例63 75歳 女性 第5中足骨基部骨折(下駄履骨折)

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