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困った・悩んだ   若い診療放射線技師 こんなときどうする?

坂野 康昌 編著

定価(本体3,800円+税)   発行日:2012/01/30   ISBN:978-4-902380-95-8
A5判/240頁

現場の第一線で活躍する若い診療放射線技師に向けて,想定事例を用いて,実際に起こりうる「困った・悩んだ」状況での対応方法について,それぞれ専門領域の技師長が解説しています.想定事例を描写したイラストも豊富に掲載されていますので,実際の状況が思い描きやすくなっています.また随所に盛り込まれたコラムでプラスαの知識も補充できます.若手技師から学生まで新しい入門書的読み物として活用いただければと思います.

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序文

はじめに

 

次世代の人材育成とは

 人材育成について,現代の医療現場では当然のように議論されているはずの課題でもありますが,若い技師の指導育成方法で力点が置かれているのは,いまだに専門性に比重が高く,知識偏重の傾向が重視される場合が多いのです.それは確かに重要な一項目ではありますが,私たちは,それがすべてではなく,患者さんとの接遇の一部分にすぎないとも考えています.なぜなら実際の医療現場では,もっともっと重要な事があるからです.
 高度な専門書は次々と発刊されていますが,若い技師の苦悩や実務での間隙を埋める手引きになる書籍はあまり見受けられず,そのため,私たちは若い技師がどんな事柄で困っているのか,または苦悩しているのかという点に注目して,その解決の一助となる取り組みを始めたのです.
 放射線科で使用する医療機器の高度化とともに,医療従事者としての診療放射線技師は高学歴化し,実務家だけでなく専門の研究者として職に就く人も激増しています.また,この十数年の間に放射線科の装備機器は目覚ましい進歩を遂げ,ベテラン職員と若い職員の業務役割が反転する場面さえも惹き起こされているのです.「ベテラン職員が,後輩職員に時間をかけてじっくりと教育していく」といった従来からの体系は,まさに変異してきたと言えるのではないでしょうか.本書の出現も,そのために大きな意義があると考えています.
 大きな専門性プラスαともいえる現在の医療サービスは,通常業務として対応すべき高度専門的な医療サービスのQuality(質)もQuantity(量)も,ともに著しく変化したのです.
 

想定事例を活用しよう

 前述したように,従来の人材育成法と言えば,じっくりと時間をかけて,ベテランの先輩から新人や後輩が仕事を教わっていくということが原則でした.当時それはまさに正解でした.しかし,有資格者として,専門家として,歩み始めている新人技師さんは,もう学生ではないのですから,先輩から,「手とり足とりの教わるだけの時代はもう終わった」と考えてください.従来の流れを踏襲しながらも,自らの頭で考え,一人の専門家として突き進む時代に突入しているのです.これはベテラン職員のやり方が時代遅れだとか,業務遂行能力を否定しているわけではなく,むしろベテランの総合的能力を効果的に活用すべきであって,その有効な方法を再考してもらいたいということなのです.
 こうした状況下で,若手の放射線技師とその指導者には,急激な変化の波が押し寄せているため,我々の世代で培ってきた方法論が,必ずしも妥当といえない事例も多数発生してきました.しかし,真摯で純粋な,若手の放射線技師の取り組む業務範囲がどんどん広がるにつれて,私たちが助力したい場面も増えているのです.
 このため,医療現場で若手の疑問や迷いなどに対応したいという思いが高まり,なんとかして解決法が得られないかと考え,幾人かのリーダーで取り組んでいるため,「想定事例という形」をとって解説に当たることにしました.
 この想定事例での表現は,もちろん医療現場の実態がこのようであるということではありませんし,他職種などを誹謗中傷する意図でもありません.困惑する状況をいかに打破していくかを考えてもらうため,現実よりも少々過激な部分もあるかもしれませんし,あえて困難な状況を想定しているのです.
 本書の趣旨は,今後の放射線科を担っていく若き技術者とその指導者を念頭に置いて作成していますので,これらをもとにして自己討論力(debate)または論考力(discussion,私見ですが換言すると=多面的に熟慮をする力)を高めてもらいたいからなのです.
 ここで,あえて強調したいことは,「真の技術者として,専門性を高めることに加え,考える力を熟成する」ために本書を活用してもらいたいということです.
 医療現場では,それこそ患者さんを取り囲むすべてのことに,万全を期して対応しているといっても過言ではないはずなのに,それにもかかわらず,予測を超えたことが突発し,対応に即断即決を迫られることも多いのです.したがって,常に努力を続けていかなければ,落とし穴がたくさんあります.真摯な取り組みを行ったとしても,自ら選択した答えは,「常に正解であり,そしてまた常に正解はない」という訳のわからないことになってしまいます.
 ですから,現実の医療現場では矛盾も多く,患者さんの安心安全を確保し続けるためには多面的な思慮訓練が不可欠になってきます.また,若い技師さんが,もう一歩前に進むためにも,「悩みや疑問を分析する力・疑問に応える力・打ち勝つ力」,これらの助力になれるよう本書を活用していただければ幸いです.私たちも,この一冊にこうした思いを注力したつもりです.
 

新人と指導者,両方に必要なこと

 私たち診療放射線技師は,医療技術者としても,専門の知識の量と質について真摯に追究していることは間違いないと思います,しかし人間ですからいくら努力を重ねても盲点もあります.
 想定事例にみられるように,「なぜだろう,どうしてだろう」と考え,解決に向けて取り組むこと,結果を出すことが必ずしも得意でない人も多いはずです.医療技術者としての診療放射線技師全般に不足しがちなことは,ディベート力の育成(醸成)だと考えています.なぜなら,急激な医療技術の進歩に対応して,現在まで,人材育成の方法では,技術力の向上に強く目を向け,技術習得に努力する事が最重要だったために,ディベート力の育成が求められる機会など極めて少なかったからです.しかし,現状は変わりました.診療放射線技師として,医療従事者として,また,一人の人間として,自らもポジティブシンキングで自己ディベートできる人間に変わりましょう.
 本書の想定事例での回答は,あくまでも各部門のリーダーの答えの一つであって,必ずしもあなた自身の正解とは限らないのです.それは,医療現場における想定事例は,複雑にして多面的であり,歴史の年号当てのように,答えが1つだけとは限らないことばかりだからです.それでも,この本を活用し,「多様性を採り入れ,熟慮し,自ら打破する力」となる,お役に立つものと考えています.
 「知識が足りない,経験が足りない,解決方法がわからない」などで行き詰ってしまう.それなら具体的にこれらの解決を図っていこうという考え方です.未来に向かう若き診療放射線技師諸君にとって,求められることは,単なる実践で終わることない自己実現力の発揮ではないでしょうか.
 実現力の発揮で自分を輝かせてください.
 
 2012年1月
坂野康昌  
 

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目次

第1部:想定事例

1.接遇一般

 ・撮影患者さんの呼び出し順番を忘れてしまった
 ・順番の変更が求められる場合,どのように待機患者に説明したらよいでしょうか?
 ・受付や待合で文句ばかり言っている患者さんへの接し方がわかりません
 ・暴力を振るってきそうな患者さんには,どう対処すべきでしょうか?
    Column “モンスターペイシェント”とは
 ・患者さんの話が長く,付添者も多いので,なかなか検査に移れません 
    Column 学校で教わらない“患者対応”のこと 
 ・患者さんに「まるでセクハラだ」と言われてしまった 
    Column 基準点合わせのために患者さんに直接触れるときの声のかけ方 
 ・女性技師の対応なら,女性患者に検査着を着てもらわなくてもいいの? 
 ・小児撮影で子供が言うことを聞いてくれません 
 ・撮影の前に「妊娠してるんですけど大丈夫ですか?」と聞かれてしまった 
 ・造影剤の副作用について聞かれた場合,どう答えればよいでしょうか? 
 ・患者さんに「死ぬかもしれないの?」と聞かれてしまった 
 ・患者さんの辛い様子を見て心が折れてしまう.私はこの仕事に向いていないのでしょうか? 
 ・ひげや頭髪・服装などは個人の自由でしょう? 

2.職員間 

 ・医師のオーダーについて疑問があるとき  
    Column 医師が求める“標準的なX線写真”とは  
 ・医師のオーダーにプラスαの撮影は行ってもよいのでしょうか?  
   Column 医師との連携 〜チーム医療とは?〜  
 ・担当者がいないときに,患者さんから検査の問い合わせがきた  
 ・先輩ごとに言うこと(指導内容)が違うんですけど!  
    Column 業務ルーチンとは?  
 ・他部門の職員にMRIとRIの違いを説明する  
    Column “DICとDIC”の話  
 ・もし万が一,看護師が非協力的だったらどうしたらいいの?  
 ・パワーハラスメントって何?  

3.救急撮影 

 ・救急外来でのポータブル撮影.呼ばれるままに撮影を済ませてしまった  
 ・血だらけの患者さんにはどう対処する?  
    Column 救急撮影時の感染症防御について  
 ・撮影中に患者さんが転倒してしまった!  
 ・撮影中に患者さんの意識がなくなった!  
 ・ Column 「バイタル」って何?  
 ・基本撮影の体位ができない場合のポジショニングと撮影条件が知りたい  

4.一般撮影 

 ・ストレッチャーで動けない患者さんで立位撮影のオーダーが入った  
    Column プロテクター  
 ・患者さんの髪の毛が原因でうまく撮影できません  
 ・体位変換が困難な患者さんの多方向撮影で,うまく撮影が進められません  
    Column “リウマチ気質”とは  
 ・フォトタイマーが故障してしまい,撮影条件を手動設定することになった  
 ・胸部撮影で肺野(特に下肺野)が欠けたり入りすぎたりしてしまいます  
 ・右足が痛い患者さんで,なぜ左足の写真を撮るの?(患側と健側)  
 ・教科書どおりにいかない撮影現場  
 ・学校で教わっていない病院独自の取り決めによる撮影で問題ないの?  
 ・患者さんを移動させる“スライドパッド”の使い方がわかりません  
 ・鮮明に撮影するための“リスフォルム”の使い方がわかりません  
    Column 「骨塩定量検査」で困ったら  

5.ポータブル撮影 

 ・撮影補助のため,看護師を呼ぶ場合と呼ばない場合は,どう判断すればいいの?  
 ・病床(ベッド)撮影時に患者さんが痛がって,うまくカセッテが入れられない  
 ・術中ポータブル撮影時に,手術室で触ってはいけないものがよくわかりません  
 ・術中胆道造影の撮影で,カセッテの設置や造影のタイミングがわかりません  
 ・まだ感染症の患者さんの撮影に慣れていなくて不安に感じる部分が多いのですが  
   Column 感染症患者さんと一般患者さんの撮影順序  
 ・他の患者さんもいる大部屋で撮影しても構わないのでしょうか?  
 ・撮影時に家族や介助者がいた場合は退室してもらうべきなのでしょうか?  
    Column ポータブル撮影を行う際の安全な距離とは  
 ・撮影補助をしてもらう看護師に,どのように被ばくについて説明したらよいのでしょうか?  

6.マンモグラフィ 

 ・ペースメーカを付けた患者さんは撮影してもよいのでしょうか?  
 ・授乳中の方の場合,どのように撮影すべきでしょうか?  
 ・撮影しようと乳房に手を触れたら,豊胸をしている方だった  
 ・撮影した写真がわかりづらく,追加撮影が必要か判断しなければならなくなった  
 ・乳房が小さいことを気にされている方を,うまく撮影する方法が知りたい  
 ・マンモトーム検査を不安に感じている患者さんの質問にはどう答えるべきでしょうか?  
 ・男性のマンモグラフィ撮影なんてやったことがなく不安です  
 ・女性技師がいない場合には,どう対応すればよいのでしょうか?   

7.X線TV 

 ・バリウム造影剤調剤のポイントと廃液処理について知りたい  
 ・上部消化管撮影時に患者さんがバリウムを誤嚥してしまった!  
 ・体位変換で患者さんが指示どおりに動いてくれません  
 ・慣れていないせいで透視検査を終えるまでに時間がかかってしまいます  
 ・患者さんからMDLとUGIの検査について聞かれてしまった  
    Column 「エッセン」「ステる」って何?  
    Column “嚥下造影検査”とは何か?  
    Column “脊髄腔検査”とは何か?  

8.CT検査 

 ・ペースメーカが入っている患者さんのCTオーダーが入った  
 ・検査前の食事「担当医OK・説明書NG」どちらが正しいのでしょうか?  
 ・着替えをしてもらう基準に迷ってしまうことがあります  
 ・あごが引けなくて頭部のポジショニングがうまくいきません  
    Column CT検査時のスタート位置  
 ・子供の患者さんが痛がったり泣いたりで,動いてしまってうまく撮影できません  
 ・造影剤が漏れて寝台にこぼしてしまった!  
 ・造影剤の検査で患者さんが「気分が悪い!」と訴えてきた  
 ・ルート確保をしたあとの針に触れて受傷してしまった  
 ・造影剤は誰にでも使ってよいもの?  
    Column 造影剤で困ったら  

9.MRI検査 

 ・危うく吸着事故になるところだった・吸着事故が起こってしまった!  
 ・特殊部位の検査でコイルの選択に迷ってしまいました  
 ・アイシャドーをしている方の検査は行っても問題ないのでしょうか?  
 ・小さい子供でうまく検査ができないときは,親に同室してもらってもよいのでしょうか?  
 ・頭部の検査で着替えてもらったのに画像の抜けている部分があった  
 ・機械の操作はできるけど,T・T強調画像の違いなどがよくわかりません  
    Column シーケンスで変更してもよいパラメータとは? その影響は?  
 ・検査の途中で患者さんが「気分が悪い」と訴えてきた  
    Column MRIに特有の問題  
    Column 酸素量とヘリウム量が大事な訳とは?  

10.血管撮影 

 ・検査業務の流れがよくわかりません  
 ・検査スタッフは何をすればいいの?  
 ・心臓カテーテル検査の心電図の電極は誰が貼るのでしょうか?  
 ・患者さんが急変したとき技師はどうすればよいでしょうか?  

11.RI(核医学)検査 

 ・危うく患者さんを間違えて,核種の誤投与をしてしまいそうになった  
 ・薬品が処置室のテーブルや床などに飛び散ってしまった!  
 ・アイソトープ検査室に入った車椅子やストレチャーはそのまま出していいの?  
 ・アイソトープ検査の患者さんのおむつはどう取り扱ったらよいのでしょうか?  
    Column 使用後のアイソトープ薬剤の保管と廃棄  
 ・他の造影検査との検査順序による影響と対処  
    Column 検査順序による影響と対処  
 ・検査している患者さんから技師への被ばくの影響はあるの?  
    Column “被ばく”と“汚染”はどう違う?  

12.放射線治療 

 ・患者さんが痛がってポジショニングできません  
 ・呼吸で動く部位のセットアップがうまくいきません  
    Column 再現性の高いセットアップ  
 ・いつもと違って調子の悪そうな患者さんが気になります  
 ・治療のための印が毎回消えてしまいます  
    Column 見える部位の印を気にする患者さんに対する有効な対処法は?  
 ・白血球が少ない患者さんで治療を続けても大丈夫でしょうか?  
 ・患者さんが治療途中で中止を求めてきた  
 ・自暴自棄になっている患者さんから否定的な言葉ばかり出てきます  
    Column 放射線治療の患者接遇は特別難しいもの?  
 ・線量分布・MU値など,技師のチェックポイントとはどのような点でしょうか?  
    Column 線量分布の理想とは?  
    Column 放射線治療の種類  
    Column 治療台に寝ている患者さんの気持ちと注意点について  
 

■第2部:強化部門

1.システム 

 ・部門システムで障害が発生したときには  
 ・ネットワーク管理に必要なマニュアルとは  
 ・コンピュータトラブル対応のコツ  
 ・部門システム・電子カルテシステム・医事システムの関係は?  
 ・他院のデータ(フィルムやCD)の取込方法と注意点  
 ・セキュリティ対策  

2.安全管理 

 ・リスクマネジメントとは  
 ・ヒヤリ・ハットとは  
 ・インデントレポートとは  
 ・医療の質を向上させるためには  
 ・医療事故防止のための基本的事項とは?  
 ・患者情報の匿名化  
 ・転院のための画像データ出力  
 ・漏えい線量の測定回数  
 ・保守点検の立会いは機器を学ぶチャンス!  

3.大学院 

 ・実務家か研究者か  
 ・仕事と学業の両立  
 ・転職のための大学院?  
 ・家庭と仕事と学業の両立  
 ・上司から大学院進学を勧められたら?  

4.略語・用語集 

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診療放射線技師 > X線
診療放射線技師 > CT/MRI
診療放射線技師 > 核医学
診療放射線技師 > 画像解剖
診療放射線技師 > マンモグラフィ
診療放射線技師 > その他


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