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前立腺がんに対するロボット手術 連続写真と動画で学ぶ手技のコツと落とし穴  

大堀 理 著/秦野 直 著

定価(本体14,000円+税)   発行日:2012/04/30   ISBN:978-4-906714-03-2
A4判/168頁

・パイオニアの著者だから書けた本音をありのままに公開.この1冊で初期からの苦悩と工夫のすべてを呈示.だからラーニングカーブの壁となる様々な困難がよくわかる.
・付録DVDには,合計約5時間におよぶバリエーション豊富な厳選動画を40点収録.

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序文

はじめに
 
 世の中には時々革新的な技術が出現し,それがこれまでの常識を覆し,新しい展開をみせることがある.そのときに気づかなくても,あとでそれが革新的な変化であったと気づくこともしばしばである.例えば,産業革命の元になった蒸気機関や印刷機・半導体・IC・コンピュータ・原子力の発明などである.医療分野においても同様である.泌尿器科では,CTスキャン・腹腔鏡手術・ESWLなどがその範疇に入ると思う.ロボット手術はそのような中の革新的な技術の一つであると確信している.
 現在,多くの医師が「でも費用がかかるし,大掛かりな設備だし‥‥」と思っている.また,ロボットでも腹腔鏡でも開腹でも,術後の手術成績には大して違わないとする意見もある.そしてロボットの導入をためらっている.しかし欠点は近い将来克服される.それに従い現在行われている開腹手術,腹腔鏡手術などのうち,多くの手術が徐々にロボット化されてゆき,その流れは変わらないと思う.
 前立腺がんに対するロボット手術は,さまざまな手術に対するロボット化のさきがけになると思う.私自身500例以上の恥骨後式前立腺全摘除術や会陰式手術を行ってきた.他の人の手術を見たり他の人に見てもらったりして,批判・批評を繰り返し,その手技は洗練されてきたと思う.しかしそのようにして行ってきた前立腺全摘除術であるが,今ロボット手術を開始してみて,その手術終了時の出来は,これまでの開腹手術のそれを明らかに上回っているようにみえる.
 本書は,これから前立腺がんに対するロボット手術を開始しようとする諸兄のために書かれた.ロボット手術は一見簡単に見える.しかし実は多くのノウハウが隠されている.本書では,それらをできる限り明らかにする.
 
秦野 直
 
本書の目的
 
 すでに前立腺がんに対するロボット手術は10年の歴史があり,欧米では数百〜数千症例の経験をもとに議論されており,膨大な経験から抽出されるビデオ画像は,ロボット手術の素晴らしさを表している.本邦では比較的経験豊かといっても,欧米のそれと比較すると限られている.したがって本書の目的は,文句のつけようのない100%の手技の呈示ではなく,むしろ初期からの苦悩・工夫の呈示と言ってもよいだろう.
 明らかにラーニングカーブの初期にいると我々は自覚しているが,一方でそんな状況下でもロボット手術の素晴らしさを体感している.それが本書を作ろうというきっかけとなっている.本邦でロボット手術を始めた人たち,今後始める人たちに本書が少しでもお役に立てれば幸甚である.また,ロボット手術のステップは開腹手術の技術向上にもきっと役立つと考えている.
 
おわりに
 
 医師人生の中でもさまざまな出会いがある.本書を書くきっかけも共著者である秦野先生との出会いである.
 出会いは9年前だが当初から冷静沈着で的確な手術の腕には驚かされ,以来,勝手にメンターとしている.ロボット手術で3D画像に映し出される秦野先生のメスさばきは見事である.決して「1時間で手術終わったぞ〜」というような態度は一切なく,丁寧に辛抱強く必要なことをしっかりやる手術である.結果としてトラブルはきわめて少なく機能的な結果も当然良好である.私自身はまだ発展途上であり,秦野先生を見習いたいが故に長い手術となったりしているが,お陰様で大きなトラブルは経験していない.このことが本書を作るきっかけとなり,さらに本邦では早期にロボット手術を経験できた者としての責任と感じた.
 間違いなくロボット手術は前立腺全摘除術の中心的役割を担うと思われるが,本書がロボット手術を始めようとしている医師・看護師スタッフのお役に少しでもなれば幸甚である.
 最後に,チームとして常に患者を支え,このロボット手術にも大きな貢献をしている東京医科大学麻酔科スタッフ,手術部看護スタッフ,病棟看護スタッフ,泌尿器科スタッフの皆さんに深く感謝致します.
 
大堀 理

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目次

■第1章:予備知識
 
1.ロボット手術の歴史
 1.臨床におけるロボットの歴史
 2.さまざまなロボットのタイプ
 
2.ロボット機器(da Vinci Surgical System)の特徴と利点
 1.ロボット機器の特徴
 2.ロボット手術ならではの利点
 
3.ロボット手術導入における初期準備
 1.チームの立ち上げ
 2.ロボット手術開始の必要条件
 3.初期症例の選択
 
4.ロボット手術前に必要な確認と準備
 1.適応と禁忌
 2.患者説明と術前処置
 3.深部静脈血栓症(DVT)
 4.麻酔方法
 
5.ロボット手術のための解剖学的知識
 1.腹腔内の観察
 2.前立腺周囲の膜構造
 3.尿道括約筋
 4.陰茎海綿体神経(勃起神経)
 5.静脈系
 6.動脈系
 7.Accessory pudentary arteries(APA)
 8.リンパ系
 
6.手術室内の配置と使用機器,助手の役割
 1.人員・機器の配置
 2.使用機器
 3.助手の役割
 
■第2章:手術手技
 
1.麻酔導入と体位変換
 
2.ポート挿入
 1.気腹方法
 2.ポート位置
 3.トロカー関連の合併症
 
3.ロボット本体のセットアップ
 
4.腹腔内の観察・レチウス腔の展開
 <このステップのバリエーション>
 (1)腹膜の切開線がよくわかる例
 (2)脂肪が多い例
 (3)その他の典型例
 
5.前立腺前面の露出
 
6.左右の内骨盤筋膜の切開と展開
 <このステップのバリエーション>
 (1)前立腺尖部がわかりやすい例
 
7.DVC の結紮
 <このステップのバリエーション>
 (1)その他の典型例
 
8.膀胱前立腺の離断
 <このステップのバリエーション>
 (1)前立腺方向へ入りすぎてうまくいかなかった例
 (2)前立腺が大きい例1:左葉が大きい
 (3)前立腺が大きい例2:中葉が大きい
 (4)前立腺が大きい例3:後葉が大きい
 (5)膀胱頸部の後壁が薄くなった例
 (6)膀胱の位置を鉗子で膀胱内側より確認した例
 
9.精管・精嚢の露出と処理
 <このステップのバリエーション>
 (1)神経温存時の精嚢剥離
 (2)その他の典型例1
 (3)その他の典型例2
 
10.デノンビリエ筋膜と側茎処理
 <このステップのバリエーション>
 (1)その他の典型例
 (2)レイヤーの選択がよくわかる例
 
11.神経血管束の温存と側茎処理
 <このステップのバリエーション>
 (1)右神経温存の典型例1
 (2)右神経温存の典型例2
 (3)右神経温存の典型例3
 (4)左神経温存の典型例
 
12.DVC 切断・連続縫合と尿道離断
 <このステップのバリエーション>
(1)DVC の切断と連続縫合
 
13.ロッコ縫合後の尿道吻合
 <このステップのバリエーション>
 (1)デノンビリエ筋膜の進展性が良い例
 (2)デノンビリエ筋膜の進展性が不良で張力が強い例
 (3)尿道の後ろのデノンビリエ筋膜の断端がしっかりしていて縫いやすい例
 
14.膀胱尿道吻合
 1.吻合のコツ
 2.術後の尿失禁を防ぐ
 <このステップのバリエーション>
 (1)膀胱縫縮の例
 (2)その他の典型例
 (3)膀胱吻合口が大きいが少しずつ合わせて縫縮せずに吻合した例
 
15.リンパ節郭清
 
16.ドレーン挿入から閉創まで
 1.ドレーン挿入
 2.ポートの抜去
 3.ロボットからの脱却,体位の変換
 4.前立腺の摘出・閉創
 
■第3章:その他
 
1.その他の方法:腹膜外からのアプローチ
 
2.ロボット手術の成績
 
3.合併症とメカニカルエラー
 1.合併症の頻度
 2.合併症の種類
 3.メカニカルエラー
 
4.ロボット手術の習得方法の薦め
 
5.現状の課題と今後の展望
 1.米国と日本の状況の比較
 2.ロボット手術の結果報告
 
【Column:著者のつぶやき】
・保険適応でロボット手術が広まると
・開腹なのか,腹腔鏡なのか,ロボットなのか?
・ロボットは危険?
・血腫?腫瘍?
・DVC は厚い
・膀胱前立腺の離断は難しい
・やはり気になる直腸損傷
・神経温存
・Rocco Suture はお勧め
・腹膜外のアプローチ

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