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Autopsy imaging 症例集 死亡時画像診断のための読影マニュアル  

髙橋 直也 編 /塩谷 清司 編 

定価(本体4,800円+税)   発行日:2012/11/09   ISBN:978-4-906714-05-6
B5判/144頁

・これまでに小社ではAi関連書として,総合学習のための「Autopsy imagingガイドライン(現在は第2版)」と,撮影に関する知識を中心とした「診療放射線技師のためのAi検査マニュアル」を刊行して参りました.
・そして第3弾となる本症例集では,全国のAi実施施設から寄せられた,死後画像の読影に役立つ症例を多数収載し,読影に関するポイントを中心にまとめました.
・本書では,基礎知識として必要な典型例の解説も盛り込まれていますので,死後画像とその読影とは何かを知るための手引書として是非ご活用ください.

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序文

序文
 わが国では,主要な救急病院の9割(2005 年 Ai 学会アンケート),一般病床を有する病院の3分 の1強(2009 年 日本医師会アンケート)が,オートプシー・イメージング(Ai)を施行しているとされてきました.この数年,死因究明のためのAi の重要性がクローズアップされてからは,さらに 多くの病院でAi が行われるようになっています.しかし,Ai を行っている施設でも経験できる症例 は限られているのが現状です.
 そこで,一施設の経験を日本全国で共有することを目的として,診断のための実際的な症例集が企 画され,我々が編集にあたることとなりました.Ai 学会,日本放射線科専門医会・医会を介して症 例を募ったところ,たくさんの施設から貴重な症例を寄せていただきました.内容も,救急症例,院 内死亡例,病理解剖例,法医解剖例と多岐に渡ったものでした.この時点で,本書が充実した内容になると確信しました.
 第1章は,読影に必要な知識を,実際の画像とこれまで発表されている文献を呈示してまとめまし た.第2章では提供していただいた症例を,1)解剖と対比できた症例,2)Ai のみで診断できた 症例,3)社会的に有用であった症例に分類しました.それぞれの項目には,関連症例を記載しまし た.症例の解説は,編者が用語を統一した以外,各施設に全面的にお願いしました.
 第2章の「症例集」は,各先生方の熱意と知識で出来ています.お忙しい中,執筆していただいた先生方に心からお礼申し上げます.本書は,「Ai でどこまでわかるか,どのように有用か」がわかる内容となったと自負しています.本書がAi に携わる方々に役立つことを信じています.

平成24 年10 月
髙橋直也,塩谷清司 
 

本書の目的
 ここ数年,Ai(Autopsy imaging=死亡時画像診断)に関する社会的認知度はかなり上昇してお り,各医療機関でも実施される機会が多くなってきている.各施設でのAi の実施に関しての参考書 としては,これまでに『Autopsy imaging ガイドライン』が発刊され(第1版:2009 年10月,第2版:2012 年2月),Ai 撮影に関しては,診療放射線技師向けの『オートプシー・イメージング(Ai) 検査マニュアル』も発刊された(2010 年11月).ただし具体的なAi の読影に必要な症例の掲載につ いては,これらの書籍で十分とは言い難かった.
 法医学の分野に限定したAi の解説書は,海外でもいくつか出版されるようになってきたが,法医学者が中心となって作成したものが多い.日本のように,Ai が救急分野や通常の病死などでも盛んに実施されている地域はない.だから本書のように,すべての分野を網羅する,このような症例を含めたAi 症例集は,いまだかつてなかった.
 CT を使用したAi での死因究明率は3割程度という救急からの報告が多いが,この値を高いと見るか低いと見るかは,意見が分かれるところだろう.ただし,警察が関与する異状死が17 万体,心肺停止状態で搬送され病院で死亡するものが約10 万体存在し,これらが救急搬送される可能性がある.これらの症例の多くが解剖も行われず,死亡時の状況や体表検死だけで死体検案書が作製されているのである.
 この死体検案書を作成する医師を手助けするためにも,Ai の読影を行う者は,「どうせ死因はわからないから」とか「この後に解剖があるから,その結果で十分だ」などと考えず,少なくとも死後変 化などを含めた死後画像診断の知識を持ち,Ai で死因究明を行うという気概を持って真摯に読影に 当たって欲しい.

本書の使い方
<第1章:読影前に知っておきたい典型例>
 Ai の読影にあたっては,まず,「死後変化・蘇生術後変化」といったAi 特有の現象についての知識が必要である.来院時心肺停止(cardiopulmonary arrest on arrival:CPAOA)などで搬送された症例は,胸骨圧迫や気管内挿管などの治療行為が行われる.また,すでに心肺停止から数時間経ち, 死後変化が始まっている症例もあるだろう.死因は,これらの「死後変化・蘇生術後変化」を理解しなければ見えてこない.
 この章に関しては,現在までにわかっている知見をもとに,各々の項目に分けて具体的な画像を交えながら解説した.Ai は単に「心臓の動いていない造影剤の使えない単純CT 画像」ではない.必 ずこれらの知識を習得してから読影を開始することをお勧めする.

<第2章:症例集>
 症例集の項目では,オートプシー・イメージング(Ai)学会・日本放射線科専門医会・医会などに症例の提出を呼びかけ,多くの施設から症例を集めた.集まった症例は,単に部位別に並べるだけではなく「Ai で死因が究明できたか・できなかったか」,また「解剖が行われたか・行われなかったか」 を考慮し分類した.
 画像と病理の対比が重要なことは言うまでもないが,解剖率が3%未満になってしまった現状で は,Ai が行われた症例に解剖が行われ,対比されることは大学病院レベルでないとかなり難しい現 状がある.本症例集でも可能な限り,解剖と対比された症例を集め掲載しているが,本書を手にとって使用すると思われる各施設では,Ai のみで検査が終了し,死亡診断書・死体検案書を作成しなければならないことの方がずっと多いだろう.実施される数だけでいっても死因究明に使用されるモダリティは,解剖からAi に移行してしまっているのだ.時代はまさに,「Ai が解剖を補助する」のではなく,「死因究明の中心となったAi を補助するために解剖がある」状況になっているのである.
 このような観点から,「1.解剖が行われ対比が可能であった症例」と「2.Ai 単独で死因判定が 可能であった症例」に分類し,解剖が行われた症例を「1-1.Ai で所見があり,解剖と一致した症例」, 「1-2.Ai で非特異的な所見があった症例」,「1-3.Ai で所見がなく,解剖で確認された症例」に分類している.救急搬送される可能性がある警察関連の症例も「3.Ai が事件・事故に用いられた症例」としてまとめた.実際の現場で,Ai が行われたとき,その症例がどこに分類されるか感覚的にわかる ようになっていると感じていただければ幸いである.
 「Ai で死因が確定できた」以外のものについては,今後MRI などが導入され判明するものもあるだろうし,逆に解剖を行わなければわからないものもあるだろう.そういった場合には,遺族に,「Ai を行って死因がわからないため,ぜひ解剖を行いたい」と自信を持って言えるためのガイドとしても,この症例集が活用されれば幸いである.

山本正二

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目次

本書の目的と使い方
Ai 情報センターの活用法

第1章 読影前に知っておきたい典型例
1.死後変化として見られる所見
  概説「死後変化」とは何か?
     <column>「日本と世界の死亡時画像診断」
  1.心臓・大動脈変化
     心・大血管の死後変化
  2.脳浮腫
     死亡直後の脳浮腫 
     生前の低酸素脳症による脳浮腫
  3.血液就下/血液凝固
     血管内の血液就下 
     頭部の血液就下
     乳幼児における頭部の血液就下
     肺の血液就下 
     慢性疾患(両側細菌性肺炎)による鋳型状の血液凝固
  4.腐敗 
  5.経時的変化
     肺の経時的変化
     肝臓の経時的変化
     脳の経時的変化
     <column> 「MRI における死後変化1」
2.蘇生術後変化として見られる所見
  概説「蘇生術後変化」とは何か? 
     <column> 「自動心臓マッサージシステム」
  1.血管内ガス
     脳・胸部血管・腹部血管 
  2.肋骨骨折
     肋骨骨折,気胸 
     胸骨圧迫による肋骨骨折,外傷による肋骨骨折
  3.その他の所見 
     胸骨圧迫による心囊破裂
     バッグ・バルブ・マスクによる胃粘膜損傷
     心肺蘇生術による肝実質浮腫 
     <column> 「MRI における死後変化2」

第2章 症例集
1.解剖が行われ対比が可能であった症例 
  1.Ai で所見があり,解剖と一致した症例 
     くも膜下出血,前交通動脈動脈瘤 
     脳出血
     外傷性くも膜下出血,脳挫傷
     食道総頸動脈瘻(食道がん化学放射線療法後)
     吻合部潰瘍による右鎖骨下動脈仮性動脈瘤破裂(食道がん術後)
     大動脈食道瘻孔(食道がん治療中) 
     心囊血腫,急性大動脈解離
     急性大動脈解離 
     肝細胞がん,心タンポナーデ(RFA に伴う合併症)
     腹部大動脈瘤破裂 
     腹部大動脈瘤,エンドリーク
     穿孔性憩室炎
     肝硬変,食道静脈瘤破裂
     急性胃軸捻転症
     肝芽腫破裂
     <column> 「PORT MORTUARY」
  2.Ai で非特異的な所見があった症例
     アミロイドアンギオパチーを伴った多発性脳損傷
     心囊血腫(急性心筋梗塞による心破裂)
     心筋梗塞,冠動脈起始異常
     急性心筋梗塞
     慢性心不全
     ミトコンドリア脳筋症
     Erdheim‒Chester 病
     肺炎,肺血栓塞栓症
     肺静脈閉塞症
     肺血栓塞栓症
     中心静脈ライン感染,右房内血栓
     食道がん,るいそう
     胃潰瘍出血による失血
     ガス壊死
     敗血症 
     偽膜性腸炎,CD エンドトキシンショック
     筋萎縮性側索硬化症(ALS)
     粟粒結核,肺ARDS 
     脳梗塞,非細菌性血栓性心内膜炎
     リンパ腫,先天性免疫不全,重症肺炎
  3.Ai で所見がなく,解剖で確認された症例
     特発性拡張型心筋症
     急性心筋梗塞(浴槽内での溺没)
     多発骨折による脂肪塞栓(肺毛細血管) 
     凍死
     凍死
     乳幼児突然死症候群(SIDS)疑い 
2.Ai 単独で死因判定が可能であった症例
     脳出血(維持透析患者の突然死)
     脳出血(浴槽内での溺没)
     頸椎骨折
     頸髄損傷 
     急性心筋梗塞による左室自由壁破裂疑い 
     心不全
     急性心筋梗塞
     急性大動脈解離
     中心静脈カテーテル合併症
     肺膿瘍の穿破,膿汁による窒息 
     肺血栓塞栓症 
     肺動脈脂肪塞栓症
     上腸間膜動脈血栓塞栓症 
     腹膜内出血 
     薬剤内服 
     薬剤内服
     先天性冠動脈奇形による心筋梗塞
     先天性左横隔膜ヘルニア(胎児子宮内死亡例)
     先天感染または産道感染後の持続感染
     Potter 症候群
3.Ai が事件・事故に用いられた症例
     外傷性ショック(外傷性くも膜下出血)
     外傷性ショック(出血性ショック)
     多重轢過
     交通事故による多発外傷,出血性ショック
     交通外傷による顔面骨・頭蓋骨骨折
     窒息
     墜落による多発外傷,多発骨折(外表所見の乏しい例)
     墜落による多発外傷,心破裂
     脳出血(湖での溺水)
     河川での溺死
     湖での溺死
     溺死(小児)
     絞死
     縊死,腹部刺創
     焼死
     焼死,射創
     児童虐待(胸腹部を踏まれる)
     児童虐待(頭部外傷)
     児童虐待(肋骨骨折)
     児童虐待(眼窩部を踏まれる)
     児童虐待(陰部の損傷)
    <column>「Ai 実施参加施設について」

所見別一覧(第2章:症例集)
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