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注腸X線検査 基本手技編【増補版】

奥田 圭二 著/腰塚 慎二 著/佐原 力三郎 監修/野津 聡 監修

定価(本体6,000円+税)   発行日:2014/9/5   ISBN:978-4-906714-19-3
B5判/320頁

・難しいと思われがちな注腸X線検査も,原理やコツがさせ掴めば綺麗な画像がとれるようになります.
・本書では,手技を中心に,バリウム移動の考え方やテクニックについて写真やイラストを豊富に使いながら丁寧に解説をしています.
・さらに,臨床例として51例もの症例を掲載しています.
・増補版では,カテーテルの挿入に必要な解剖の知識や,読影レポートなどの項目を追加しております.

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序文

推薦の言葉

 大腸疾患の診断のためにはX 線検査と内視鏡検査は車の両輪のような立場にあり,各々の長所短所を補完して画像診断を行うことが常である.ところが最近では内視鏡偏向に陥っており,X 線検査が等閑にされる傾向があることは困ったことである.この風潮は特に若い消化器科医,放射線科医の間でみられており,撮影技術はもとより読影もできない医師が増加している現実に直面している.「胃と腸」誌の編集などを通じて,消化管画像診断学の向上と普及に魂を注いできた一人として,今のX 線検査の衰退は嘆かわしい.
 正直なところ特に大腸X 線検査の手技は難しい.膨大で進歩の速い医療知識を習得しなければならない若手医師にとって,難解な検査手技を短期間でマスターすることは酷でもある.それだけに医者に代ってX 線診断の牙城を守っている放射線技師の努力には頭が下がる思いである.
 腰塚慎二・奥田圭二両氏は,X 線診断の砦を守る秀逸な放射線技師である.注腸X 線検査にも永年真面目に取り組み,自らの撮影手技と読影に関する主張をまとめたのが本書である.前処置から実際の撮影テクニック,読影の基本に至るまで,初心者にも理解できるように,情熱を込めて自らの信念を余すところなく記述している.提示されたX 線画像は秀逸であり,質の高いX 線像をみるとまだX 線診断も捨てたものではないと感服させられる.同時に本書の出版に賭ける筆者の熱い思いが窺える.
 本書は大腸X 線検査を極めようとする初心者からベテラン放射線技師にとっても,画像診断学の原点に回帰する貴重な参考資料である.傑出した解説書であるからこそ,一人でも多くの放射線技師,若手医師にも大腸X 線診断の醍醐味を理解して欲しいと切望する.そこから大腸画像診断学の再生が始まると期待する.
 蛇足ながら,この機会に私の希望と期待を述べておきたい.注腸X 線検査の前処置としてBrown 法が開発されたのは1961 年である.その後,多少の改良が加えられているものの,未だ完璧な方法ではなく,糞便,食物残渣に画質が損なわれ悩まされることが少なくない.新しい前処置法を造ることはできないものであろうか.放射線造影に従事する者が皆で真剣に取り組まなければならない課題であることを最後に述べておきたい.

多田消化器クリニック院長
多田正大

監修の言葉

 このたび,我々センターとともに26 年間にわたり一緒に診療してきた奥田君が,埼玉県立がんセンターの腰塚氏とともに「注腸X線検査の基本手技編」として膨大な数の注腸X線写真を駆使して,実に「手にとるようにわかる」本をまとめてくれた.26 年前といえば,大腸精密検査では後発の大腸内視鏡検査がすごい勢いを示し始め,それまでの主流であった注腸X線検査を凌駕する前兆の頃であった.しかし奥田君はX線検査に命を懸け,執念ともいえる情熱を持ってこの検査法の精度を当時より著しく向上させ,一枚の写真も無駄にしない真摯な姿勢を26 年間貫いてきた.驚くべき集中力である.ここにおさめられている全ての写真に気持ちが乗り移っているようである.
 ご覧あれ,とにかく写真がきれいである.われわれ下部消化管を外科的に扱う者にとって,病変をとらえるのにもっとも大事なものは腸管自体の立体的把握であり,その中にどのように病変が横たわっているかというイメージの構築である.手にとって触れているかのような臨場感である.それを強力にバックアップしてくれるのは内視鏡所見よりは注腸X線の所見である.適切な構図ときれいな写真により瞬間的に治療方針を決めることができるのである.この分野の診療には欠かすことのできない検査法である.
 これから注腸X線検査を学ぼうとする諸氏,あるいは既に経験をつんできている諸氏にとってもすばらしい指南書ができたと確信する.今回は基本手技編であるが内容は非常に濃厚である.熟読しては実地に戻り,疑問点が生じたら本書に戻る.弛まずそれを繰り返すことで必ずや本書で示されているようなレベルまで上達でき,結局は診療自体のレベルアップにつながっていくであろう.
 広く本書が大腸疾患専門家,志向者に親しまれ,この分野全体の精度の向上と,医療そのもののさらなる前進に寄与していくことを望んでやまない.

東京山手メディカルセンター 副院長・大腸肛門病センター長
佐原 力三郎

監修の言葉

 注腸X 線検査は1923 年にFisher により提唱された二重造影法,前処置により腸洗浄を不要とした1963 年のBrown 法を元に大きく発展した.その後,本邦にてさらなる前処置の改善と検査法の工夫が行われ,現在はブラウン変法または腸管洗浄法(等張液法)を用いて前処置を行い,二重造影法を中心とした撮影手技に粘膜法(レリーフ法),圧迫法および充盈法を適宜加え,病変の同定から微細な変化の描出までが行われる.
 注腸X 線検査の基本は病変を的確な撮影手技で描出し,読影の際に正確に読み解くことである.検査中や読影の際に異常像を発見した場合,それが真の病変であるのか残渣や蠕動による変化なのか,また,真の病変の場合は,どのような所見が臨床情報として大切なのかを知っておく必要がある.本書の腫瘍病変の項目では,埼玉県立がんセンターで長年にわたり中心となって注腸X 線検査に携わった腰塚氏が,同病院で経験した症例の中から,読影のポイントとなる所見を有し,示唆に富む病変を選び,内視鏡や病理所見と比較しながら詳細に解説している.
 厚生労働省の提言では大腸癌の精密検査は全大腸内視鏡検査を第一選択とし,注腸X 線検査単独は見落としが多く勧められないとしている.しかし,適正な前処置下に行われた良好な注腸X 線像を経験のある担当者が読影した場合の病変の感度,特異度は大腸内視鏡検査に匹敵し,時として大腸内視鏡検査で見逃される腸管の屈曲部位や襞の裏の病変も注腸X 線検査では明瞭に描出されていることも経験される.また,注腸X 線検査は内視鏡検査では不得意な病変の位置,大きさの把握が容易であり,隣接臓器からの浸潤や腹膜播種,大腸がん術後の再発などの壁外からの変化も注腸X 線検査のほうが早期に描出することが可能である.
 本書も第1版が刊行されてから約6年が経ちその間に,患者の検査負担や検査担当者の技術的負担を軽減するカプセル内視鏡検査やCT コロノグラフィーなどの新たな大腸検査法が普及する一方で,法改正により診療放射線技師による肛門へのカテーテル挿入や造影剤注入などの注腸手技が公的に認められるようになった.注腸X 線検査は同部位を非連続性に複数回撮像する再現性の評価が行えるほか,検査中に病変を見つければ腸管の空気量や病変部へのバリウムの乗せ方を変えた像を撮影することで,他の検査にはない病変の評価が行える.また,腸管内圧をかけないと認められないような微細な瘻孔の位置や交通臓器の描出,腸重積の整復など注腸X 線検査しかできない手法もあり検査手技を体得しておくことは大腸検査に携わっていく放射線技師・医師として決して損にはならない経験となる.本書を通して,撮影のスキルを磨き,読影のポイントを理解していただき,日常診療に少しでも役立てば幸いである.

埼玉県立がんセンター 放射線診断科 科長兼部長
野津 聡

著者の言葉

 炎症性腸疾患等の項を中心に担当させていただいた.炎症性腸疾患のなかでも日常の検査で遭遇する可能性の多い疾患症例を解説・呈示した.炎症性腸疾患のX 線像は,罹患範囲,病態,病期により同一疾患でも多彩な形態を示す.また,腸管以外の部分にも病状を現す全身性の疾患でもある.病変の描出や読影に苦慮する症例も多々経験する.そして,経過観察のため,繰り返し検査を施行する場合もあり,検査精度はもとより,患者への検査不信感を持たれない対応・技術が求められる.炎症性腸疾患は,腫瘍性腸疾患と比較すると症例を経験する機会が少なく稀な疾患である.本書では基本的な事項に留め可能な限りやさしく,「一目で見てわかる」をベースに構成した.一通り精読していただけたら,日常の検査に戸惑いを感じている問題点を解決する糸口になるであろう.そして一度は各疾患の成書を熟読し,さらに研鑽を積み重ねることが大切である.本書を読んで,さらに興味を持って日々の検査に携わっていただけたら幸いである.
 今般,出版するにあたって,幸いにも株式会社ベクトル・コア社の担当である編集長中田雅章氏には痺れを切らせながら辛抱していただいた.また,編集部中島亜衣さんには無理なお願いを聞いていただき,毎日尻を叩かれながら発刊まで辿り着けたことは感謝の一言に尽きる.共著者の腰塚慎二氏においては,都度重なる叱咤激励を受けた.一緒に手伝ってくれた放射線部の田中靖君,鵜沼清仁君,鈴木基展君にも感謝したい.仲間がいてこそ実現できた書である.また,多田消化器クリニック院長多田正大先生には多忙中にもかかわらず推薦文を頂戴し感謝いたします.監修の東京山手メディカルセンター副院長佐原力三郎先生には,日頃から影になって支えていただき感謝いたします.
 そして本書は,放射線技師として26 年間消化管に携わってきた自分への一区切りでもあった.これを機に,26 年間に蓄積された症例を,今後のさらなる展開に活用していきたい所存である.

東京山手メディカルセンター
奥田圭二

著者の言葉

 私は,注腸X線検査を始めてかれこれ18 年目となる.本書は,私が注腸X線検査を始めた頃から現在に至るまでに得た経験や検証をもとに書かせていただいた.
 バリウム検査の衰退が問われている今,なぜ注腸X線検査なのか? 雑誌「胃と腸」で,1998 年に「大腸疾患の診断に注腸X線検査は必要か」といった主題があった.あれから10 年が過ぎた現在ではどうであろうか.内視鏡検査の比率が高くなったものの,現在でも多くの施設で行われているのが現状かと思う.
 私が考えるに,完璧なモダリティは存在しないということがある.それぞれに利点や欠点があり,互いに補うことで正確な診断が行えると考える.
 検査件数が少なくなったことで,検査精度は高くなったのか.決してめざましい向上はないかと思う.その要因に,検査のやりっぱなしがある.X線検査の利点に見返しができることがあげられる.この利点をどれくらいの人が活かしているだろうか.自分が行った検査を見返すことで,問題点を知り改善することができる.検査精度の向上はこの繰り返しで得られるものと考える.注腸X線検査は,難しい検査と思われがちだが,立体的に腸管の走行を把握して,バリウムの移動を効率よく行えば,決して難しい検査ではない.読影の際,得られた画像を一つ一つ丁寧に注意深く読むことで,多くの異常が拾い上げられる. 大切なことは端折らないことだ.
 本書は検査を始める前の準備から検査の実際,精度管理,読影,そして典型的な症例を本のタイトルでもある「手にとるようにわかる」としてまとめてみた.本書により多くの大腸疾患が拾い上げられるよう,共著の奥田圭二君とともに願っている.
 最後に,推薦の序文を快くお引き受けくださった多田正大先生に感謝いたします.また,埼玉県立がんセンターの症例を快く提供し,執筆にあたりご指導してくださった,放射線科・野津聡先生,消化器内科・多田正弘先生,消化器外科・西村洋治先生,臨床病理部・黒住昌史先生,放射線技術部・山入端薫君に感謝いたします.そして最後まで快く対応してくれたベクトル・コアの中田雅章様,中島亜衣様に感謝いたします.
【診療放射線技師法の改正に伴って】
 初版を書き終えて早くも5年と8ヵ月が過ぎようとしている.今年の第186 回通常国会(平成26 年6 月18 日)にて「医療・介護制度改正の一括法案」が成立し,6 月25 日に公布された. この一括法案の中に,診療放射線技師法の改正も含まれた.恩師である大棒秀一氏と私の念願であった「診療放射線技師による注腸X線検査」が公的に認められるようになった. 「診療放射線技師による注腸X 線検査」が,なによりも「安全で適正,かつ丁寧な注腸X 線検査」となることを願っています.

埼玉県立がんセンター
腰塚慎二

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目次

基礎知識

 Ⅰ.注腸X線検査の基礎知識
 Ⅱ.検査のための大腸の解剖と生理
 Ⅲ.注腸X線検査の実務
 Ⅳ.前処置と前投薬
 Ⅴ.バリウム移動の基本と基本的動
 Ⅵ.注腸X線検査の実際−1
 Ⅶ.注腸X線検査の実際−2
 Ⅷ.注腸X線検査の精度管理
 Ⅸ.注腸X線所見の記載と読み方

臨床例

 臨床例:悪性腫瘍
 臨床例:大腸ポリポーシス
 臨床例:非腫瘍性病変

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手にとる注腸X線検査:基本手技編(増補版)

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